スタートアップ気質を保ちつつ、ユニークな組織文化を育ててきたメディプラス。個人プレーよりチームプレー、正論より「思い」を大事にする。それでしっかり成果を出せるのが、うちの会社の強みです。

スタートアップ気質を保ちつつ、ユニークな組織文化を育ててきたメディプラス。個人プレーよりチームプレー、正論より「思い」を大事にする。それでしっかり成果を出せるのが、うちの会社の強みです。


2011年1月にメディプラスに入社し、今年(2017年)で7年目。
販売部部長、事業企画部部長を経て、2017年5月より取締役COO。
メディプラスの強みである独特の組織文化について、そして求める人物像について率直に語ります。
インタビュアーは、メディプラス取締役副社長でCSO(チーフ・スマイル・オフィサー)の岡元朋子。

広告マーケティングへの関心から通販化粧品会社へ


―扇さんのこれまでの経歴を聞きたいんですが、学生の頃はどんな勉強をしてたんですか?

大学では社会学を専攻していました。もともと大衆心理みたいなことに興味があったんです。大学受験の前に心理学について調べたら、心理学はわりと生物科学に近い学問のような印象を受けたので、自分には社会学のほうが向いているかなと思って社会学科に入りました。大衆心理構造を理解していくためには、「個」と「集団」をそれぞれ理解しなければいけませんが、僕は後者を数字で解明することにおもしろさを感じていました。社会課題に対して仮説を立ててデータを分析して解決策を設計していく、いわゆる統計学ですね。

―今の仕事に近いですね。
そうですね、データベースマーケティングに通じますね。
―新卒のときの就職活動は?
大学生のときに宣伝会議のコピーライター養成講座に通って、広告のおもしろさを知ったんです。当たり前ですが、ただユニークであればいいわけではなくて、クライアントからの課題を解決していくことが広告なんだと。そこから大学で勉強していた統計学とかデータベースマーケティングがよりおもしろいと思うようになって、通販化粧品会社に入りました。
僕の就活の頃って、リーマンショックの前で景気がよくてベンチャーブームだったんです。みんなベンチャー(スタートアップ企業)に就職していて、僕もその一人でした。
―自分で起業しようとは思わなかった?
思いませんでした。新将命(あたらし・まさみ)さんというジョンソン・エンド・ジョンソンなどで社長をつとめた方が、著書の中で人間を5つのタイプに分類してるんですが(★下表)、その分類でいえば、自分で起業したいと思うのは、自発的に情熱を燃やし続けられる「自燃型」の方が多いのだと思います。少なくとも就職時には、僕はその他大多数の「可燃型」で、人から感化されてやる気になるタイプなので、起業しようとは特に思わない、凡人でした。




モチベーションを上げるための方法とは?

―メディプラスに入社した経緯は?
通販化粧品会社で5年ほど働いてみて、通販という小売りビジネスは好きだったんですね。それで、「もっと自分が輝ける場所で働きたい」っていうと、なんだか青くさいんですが、もう少し会社の規模が小さくて、よりスタートアップな会社がいいなと思っていたところ、メディプラスを知りました。

―メディプラスに入社してから現職までの変遷は?
最初は販売企画部でWeb広告の立ち上げ、既存顧客のCRM(Customer Relationship Management)、事業の予実管理などを担当していました。2015年からは事業企画部部長を兼任して、2017年の5月に、現職の取締役COOに就任しました。

―モチベーションをアップしたり、維持するためにしていることは何かありますか?
一番は(社長の)恒吉と話すことですね。恒吉明美という、大きくて強くて熱い炎をもっている人がそばにいるのはラッキーだなと思います。繰り返しになりますが、僕は可燃型の人間なので、点火型の恒吉から感化されている感覚がありますね。





また、恒吉に限らず、社員であったり、パートナー企業の方々だったり、僕の場合は、人と話すことがモチベーションのアップにつながることが多いですね。
もう1つは、今、会社からのすすめでビジネススクールに通っていて、そこでの学びが大きいこと、それを会社の仕事にフィードバックできることが意欲につながっています。大企業だったら、学んだことをすぐに実践で試してみるのってなかなか難しいと思うんですが、メディプラスは会社の規模的に、ちょうどいいサイズ感なので、学びを生かしやすい。人生って、たくさんインプットしても、アウトプットする機会って意外に少ないと思うんですが、そういう意味では、会社の「ちょうどいいサイズ感」と、僕が与えてもらっているポジションのおかげで、しっかりアウトプットさせてもらえているなって思います。

ブレイクスルーが起こる瞬間にワクワクする


―扇さんが働く上で大切にしていることは何ですか?
1つは、メディプラスの理念である「今より、もっと。もっとより、ずっと。」。これは僕にとってのポラリス(メディプラスでは、企業として目指す理念を、船が航海する際の指標とする北極星にたとえて「ポラリス」と呼ぶ)でもありますね。自分が何かに迷ったときの判断基準が、「今より、もっと。もっとより、ずっと。」。通販化粧品会社というストックビジネス(顧客との取引が1回限りのフロービジネスに対して、顧客と契約を結んだり会員を確保することで継続的な利益を得るビジネススタイル)は、自分にとってすごく「腹落ち」しているんです。それが「今より、もっと。もっとより、ずっと。」という理念に象徴されていますね。あと、個人的に仕事をする上で大切にしていることは、「ワクワク」と「正直」です。

―「ワクワク」を具体的に言うと?
ブレイクスルーするタイミングって、そこで掛け算が起こっているイメージがあって、それが僕にはワクワクですね。たとえば、スティーブ・ジョブズは天才的なマーケターだと思うんですが、彼が技術者としてやっていてもアップル・コンピュータは生まれなかっただろうし、スティーブ・ウォズニアックというエンジニアと組んだことでブレイクスルーが起こった。それが掛け算のイメージで、人と人の組み合わせだけじゃなくて、本質とトンチ、技術と思い、作詞と作曲……掛け合わせる素材がよければ、足し算よりも掛け算のほうが圧倒的に大きなものが生まれる。そういうことが起こりそうな見通しが立つとワクワクしますね。たとえば、会社で夜、事業計画書を作成していて今後の予測をするときに、そういう掛け算的な見通しが立つとニヤニヤしてます。いや、ニヤニヤを通り越してダハハーッて笑ってますね(笑)。





―エクスタシー的な感じですね(笑)。
ただの皮算用で終わることも多いですが(笑)。

―もうひとつの「正直」は?
お客さんに対しても、パートナーに対しても、社員間でも、正直でいられる状態が大切だと思っています。ピュアというか、削ぎ落とされるものが何もない、自分が自分でいられる状態。それが大切にしていることですね。

―自分が自分でいられるって、わりと難しいことですね。ましてや立場が上にいくほど自分を制するほうに行くと思うんですが。
難しいと思います。ですが、社長の恒吉をはじめ創業メンバーが培ってきた、このメディプラスの組織文化のおかげで、一人ひとりが割と素直でいられる環境と制度があると思います。

ハイパフォーマーを生み出す組織文化のヒミツ


―メディプラスの組織文化について説明すると?
「自虐できる」文化ですね。自分の弱点をさらすことができる。大げさに言えば、コンプレックスをいじりあうことによって、コンプレックスを隠さずに済むから、精神的に裸でいられる。そういう珍しい、つくろうと思ってもなかなかつくれない組織文化があります。

―では、メディプラスという会社の強み、長所は?
メディプラスには、ハイスキル人材は、僕を含めてそんなにいません(笑)。だけど、ハイパフォーマーは多い。ハイパフォーマーは、メディプラスが大事にしている価値観や組織文化がつくっているんだと思います。この文化を失って、個別最適(システムや組織において、個々人や個別部門ごとの最適化と成果を最優先すること)だけとか、セオリー追求だけやっていくと、会社の力が逓減していくように思います。ただし、業種・業界によりますし、ハイスキル人材がほしくないわけではありません。
短距離走だったら、もしかしたら負けちゃうかもしれません。それはハイスキル人材が揃っているわけではないから。だけど、長距離走や借り物競争ではきっと勝てる。会社の課題や目標を、つねに社員みんなでしっかり共有して、一人ひとりが「腹落ち」することを大切にしてきた企業文化があるから助け合ってやっていける。それが長所ですね。





―メディプラスで大切にしている「腹落ちをさせる」文化についてなんですが、そのために大事にしていることはありますか?
その人自身の言葉で話してもらう、自分の言葉に置き換えて話すようにするってことですね。それが合ってようが合ってなかろうが、一回、自分の言葉で話す機会をもつことは、他人事で終わらせずに「自分事化」のために大切なプロセスです。
難しい課題であればあるほど、いろんな手段が見えるので、1つに絞るってすごく難しいんですけど、自分も意見を出して、それをみんなが受け止めてくれた、というプロセスが大事で、「じゃあ、1回、〇〇さんの考えでやってみましょう」という手続きがあることで腹落ち感を生む。ただ、そのプロセスがつらいと思う人は、うちの会社には合わないと思います。
もちろんハイスキルな人が嫌だって言ってるわけじゃなくて(笑)、重視するのは、うちの組織文化になじむかどうかで、その上でハイスキルだったら、また新しいブレイクスルーが生まれるかもしれませんね。

リーダーシップよりもメンバーシップ


―じゃあ、メディプラスが求める人物像はどんなイメージですか?
パートナー企業の人たちをその気にさせることができたり、個人プレーではなくてチームプレーでパフォーマンスを出す人ですね。「リーダーシップよりも、メンバーシップ」と恒吉は言いますが、一人じゃなくて、みんなで組織力を発揮できる人材。人より一歩前に出られることより、人と足並みを揃えて必ず横を見ながらしっかり前に進める人。イメージとしては、むずかしい楽器を上手に演奏できる人ではなくて、アカペラで臆せず歌える人が集まって、みんなで合唱しているイメージですね(笑)。




★絵本のスイミーを真似て、チームプレーでパフォーマンスしていくため小さな魚の形をしたシールにスタッフ一人一人のチャレンジすることを書きました

―メディプラスで働くことのメリットは?
デメリットを先に言うと、チームプレーであるため、一人の成果、この人だけの成果というのは見えにくい。たいていはみんなの頑張りの総和という見え方にはなりますね。それがつらい人には、なじまないかもしれません。
そしてメリットは「毎日笑顔でいられる」ということ。成果をみんなで共有できる、みんなで拍手しあえる。仕事って思い通りにいかず、笑顔になれないこともたくさんあります。でも、うちのメンバーはみんな「笑えること」を見つける天才で、その面ではハイスキルなんです。その結果として、僕も日々の生活の中でたくさん笑っています。

―今後のメディプラスに期待することは?
僕の性格は、どちらかというと正論や合理を重視するいやなタイプですが(笑)、それだけで判断するんじゃなくて、「思い」で堂々と判断できることを期待したいです。たとえば、住居は賃貸派と購入派、どっちが得かというのは終わりのない議論になりがち。だけど、「マイホームが夢なんだ!」って堂々と言われたら応援したくなりますよね。「じゃあ、こういうところに気をつけてね」って一気に味方になるんですよ、その思いが強くて魅力的であればあるほど。そうすると、セオリーを超えた結果を生み出すこともある。正論よりも思いを堂々と言える空気づくりはみんなでやっていかないといけないし、一人ひとりがそれを言う勇気をもってほしいなと思っています。

―最後に。落ち込んだとき、自分を取り戻すためにすることや手掛かりはありますか?
妻の存在は大きいですね。話を聴いてくれて理解しようとしてくれるから、話しているあいだに冷静になれます。自分の口で言うのは憚(はばか)られるような僕の気持ちを代弁してくれたり、徹底的に味方としての意見を言ってくれるので、逆に「そこまで深刻じゃないよ(笑)」とニュートラルな状態に戻されるというか。

―すごくいい奥さんですね。
うまくコントロールされてる可能性はありますね(笑)。でも、忙しい日々の中で自分に戻れる環境をつくってもらえて感謝しています。

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